「小田原城下町」 全ては我がまちのために・・・
グローカルな視点で、唯一無二の彩りで輝き、人を魅了し、人が集う地域
はじめに −今、この瞬間(とき)を動く−
社会のグローバル化が進む中で、経済が急発展している海外の活力を積極的に取り入れていくといった観点からも、国の政策である「観光立国」の実現は、観光地を保有する我が地域に不可欠な重要課題であります。言い換えれば、我がまちの活性化のためにローカルとグローバルを併せ持つ視点で展開する運動が必要です。
現在の我が国は、2020年東京オリンピック・パラリンピックを見据えた観光振興、インバウンドの飛躍的拡大に向けた取組、ビザ要件の緩和など訪日旅行の容易化、世界に通用する魅力ある観光地域づくり、外国人旅行者の受入環境整備、「MICE(会議(Meeting)、報奨・研修旅行(Incentive)、国際機関・団体・学会などが行う会議(Convention)、展示会・見本市/イベント(Exhibition/Event))」の誘致・開催促進と外国人の取り込みを行っております。そして、2020年の国際大会の開催を絶好の機会と捉え、さらなる観光立国の推進を図るべく、訪日外国人旅行者数は年間2000万人の高みをめざしています。これに対し我がエリア(小田原市)の外国人宿泊観光客は、年間約16万人(平成25年度調査)という数値は「伸びしろ」を感じさせる現状です。我がまちは、様々なパラダイムシフトが急速に進んでいる状況を良く見据えながら、世界に通用し、誰もが「行ってみたい」「見てみたい」と思う選ばれる地域づくりをめざします。そのためにまずは小田原・箱根・真鶴・湯河原の地域をIR(統合型リゾート)及び観光産業の事業構想力の形成と強化に取り組み、地方創生の波に乗っていく運動を展開することが今求められています。
我々地域を愛する青年がやるべき仕事とは、その組織力や運動の推進力を高め、現状ある地域資源を発信・連動させ、そのコンテンツから構築していき、その地域の未来を見据え、先駆けた運動展開をしていくことです。我がまちにおける様々な背景を検証し、我がまちのグランドデザインを描き、地域社会にとって有用な行動ができる可能性を秘めた個の集合体が青年会議所です。また、この地域は、世界から注目される地域資源が山ほど存在します。その地域の特色を活かした唯一無二の人を魅了する地域の実現すなわち小田原青年会議所が掲げる地域ビジョン「世界を感動させる観光文化都市をめざして」に向かって大きく具体的に舵を切ります。今まで箱根の恩恵を受けていた小田原市の観光客1000万人、外国人観光客100万人、人口30万人をめざし、その御恩をお返しすることでこの地域に訪れる目的を増やす。「我々ならできる!」志高く、未来に向かって挑戦するその瞬間を楽しみましょう。
小田原青年会議所の軌跡に新たなる一歩を 「和」という漢字には、「日本的な」という意味のほかにも「穏やかなこと」とか「仲良くすること」などという意味があります。それらの意味する所は本質的にゆるく繋がっているのではないだろうか。それは自然と出来上がったものではなく、長い目で見て何を大事にすべきなのか、深く広い視点を持つ地域を思う先人たちのおかげで保たれています。しかし、その人々の存在や思いを知り、未来へ繋ごうとする人が急速に減っているのが現状です。「和」とは、人と人、そして人が創造する物事の可能性が無限に広がる世界を構築するための大切な要素であり、「和」が相互理解を通じて国際交流から世界平和に寄与できます。そのことに気づき、実践するためには、一人ひとりの自立が問われるかもしれません。もしかするとそれが大変だから皆忘れて安易な「和」に走ってしまうのかもしれません。聖徳太子が“和をもって尊しとなす”と書いた時代から、日本人は「和」の本質を考えて生きています。現代の世界にとって大切な財産である「和」の学びを得るチャンスに恵まれた国に生まれ、尚且つそれがまだ残る時代に生きていることは大変な幸福です。大きく和すること。つまり「大和」。これこそが和の神髄なのです。
「格に入り 格を出でてはじめて 自在を得べし」 松尾芭蕉
物事の基本や本質を学び、見抜き、そのものを習得できたのなら、その後創り出す物事は、無限の可能性を秘めている
物事の基本や本質に伴う法則や流儀すなわち「格」そして運動の「核」を創造する。
まず、我々が所属している青年会議所の目的は、定款に定める事業を実施すること及び関連団体の開催する事業を協働的に実施することにより、この法人の会員及び地域住民の資質を向上させ、地域社会と日本国の産業、経済、社会及び文化の健全な発展を図り、明るい豊かな社会の構築及び世界の繁栄と平和に寄与することである。また、より良い変化をもたらす力を青年に与えるために、発展・成長の機会を提供することを使命とし、若き能動的市民の国際的なネットワークを創造しながらのその先駆者になるとビジョンに掲げ、1958年より愛するふるさとに青年会議所という組織の根を下ろしました。1997年、地域ビジョン「世界を感動させる観光文化都市をめざして」を制定。「全国大会ができるまちってどんなまち?」という問いから我々の歩み方が大きく変わったことは事実です。それから全国大会開催に向けた怒涛の誘致期間が経過し、大きな学びと気づきをもらった全国会員大会小田原・箱根大会を開催しました。そして昨年、全国会員大会小田原・箱根大会5周年記念大会を契機に過去から現在への流れを再確認し、我々のめざす未来を提示しました。本年、全国大会を経験し出向経験も豊富な世代が最後の年を迎えました。卒業と同時に責任世代が交代する節目の時を刻み、過去・現在の軌跡を辿りながら、創立60周年を迎える準備をし、地域ビジョン達成に向けて更なる具体的な一歩を踏み出します。
観光と我がまちの和 [地域外のヒト・モノ・カネ・コトを引き寄せる]
古き良き日本人の精神性とは、万物全てのモノに神が宿り、その存在に感謝する世界でただひとつの精神性であり、誠実で良く働き、身の丈に合った行動をし、自分でやるべき仕事を見つけ、人のためによく働く。その姿に人は「有難う」と思う。難しいことだらけの人生だから、問題を解決しようと切磋琢磨する「悩み」によって知恵は生まれ、逆に悩みがないところに知恵は生まれません。その大変な困難から乗り越えようと必死に頑張るその姿に人は感動します。すなわち難というネガティブな漢字が有難うというポジティブな意味へと変化する。それこそが日本人の精神性ではないでしょうか。過去の先達たちが一生懸命取り組まれた成果と、その成果を歴史や文化として現代の時代に学べることの有難さに感謝の念を抱いております。さらに現在あるモノ・コトの価値を高めながら、今を生きる我々が「次代に向けたお土産」を残していく責任と仕事を全うし、国内外から選ばれ、「the日本」が溢れ出て彩りある楽しそうな地域をめざし未来に向かって積極果敢に挑戦します。
「一隅(いちぐう)を照らす」伝教大師 最澄
誰かひとり、またはどこか隅一つを照らすことにより、全員や全体が幸せになる
我々が掲げている地域ビジョン「世界を感動させる観光文化都市」とは具体的にどんなまちなのか。もしかしたら答えは無数にあるかもしれない。もし共通の具体的なイメージをもったなら、更に運動の推進速度が加速するだろう。
我々青年がいつの時代もその地域の未来を見据え、先駆けた運動展開をしていく必要があり、我がまちを見渡した時、有用な行動「一隅」それは「観光」であります。全ての産業の6次化は我がまちの活性化の観点に置いて重要で、世界規模での地域間競争に勝ち抜いていくためには、地域内でやりとりされるお財布では事足りず、地域内で産み、地域内で付加価値を付けて外貨を稼ぎながら消費していく戦略が必要です。また、地域の共通の目的を見出し、市民・行政・各団体が主体的に一体となる先導役を担うことのできるのは我々だけではないでしょうか。その構想を実現させるためには、我々の力だけでは叶いません。我が地域内の協力を仰ぐことのできる地域外からヒト・モノ・カネ・コトを引き寄せる魅力のある構想が必要です。過去・現在の全国・世界にある多くの事例を調査・研究し、地域の特色を活かした唯一無二の夢と世界からの人を巻き込むツールを詰め込み、誰もが共感できる「小田原JC版未来予想図」を完成させます。そしてそのロードマップを携え多くのひとに共感を与え、“面白そうだからちょっと覗いてみよう”という小田原青年会議所の行動計画すなわち「運動の核」を策定いたします。そして、我々のエリアである小田原・箱根・真鶴・湯河原を見渡し、地域ビジョン達成にむけて最大の効果を得ることのできる手法「小田原城下町構想」を戦略的に運動展開して参ります。
地域文化との和 【観光の受け皿となる地域文化を創る】
文化とは、人間が自然に手を加えて形成してきた成果であり、様々な教育を受けてきた人が創り出す無形のモノです。また、後世にも語り継ぐことのできるモノです。その何気なく感じた文化が一瞬の輝きを見せ、創り出された背景や道筋を見つけると人は感動や奥深さを覚えます。我々は、中立無二な立場で多機能的に、従来縦割りのカテゴリを横に進み、大胆な発想と横の連携ができる唯一の組織で、その可能性は無限にある。言い換えれば、地域の教育や人が観光資源(地域資源)になり、その運動の効果が地域の誇りになることを知っています。
代表的な日本人の一人で我がまちの誇る「二宮尊徳」の掲げる「報徳仕法」は、地域の在り方やそこに暮らす人の在り方を考える上で非常に有効な教科書です。その「仕法」を「至宝」ととらえ、全ての行動に意識をしながら組み込んでいくと、それはものごとを成功に進める近道なのかもしれません。その考え方を違う行動にイノベーションをかけ、身近なものに形を変化させ、「金次郎の念(おも)い」を我がまちの文化に昇華する取り組みをしていきます。また、我がまちに存在するスポーツも同様です。スポーツ国際大会の波に乗り、地域文化として成立する可能性を秘めた種目を抽出し、スポーツ文化としても盛り上がっているまちを国内外に発信していきましょう。
地域の活性化を企てるためには、国内外の観光戦略の核を見透かし、この地域の文化を未来に繋げようとしている関係諸団体と連携し、我がまちの未来に向かって行動できる人々が揃ったシンクタンク的な集団機能の充実が必要です。すなわち「地域のチカラ(文化)」を結集し、時代の変化を見据えた組織やビジョンの構築と実際に行動に移す力をもつ団体の枠を超えたカウンターパートを増やしていきます。さらに、様々な活動や考えを持っている人々に正対し、共通の目的をもった信頼や規範からなる人と人のつながりを強化活用し、この地域に存在する資源を磨き上げ、独自の物語と魅力を創り出し、「ここに行ってみたい。」「体感してみたい。」と人を魅了する「地域文化」として観光分野におけるグローバルな新しい目線をもって地域内外から欲されるニーズの受け皿を強化し、地域一体となりその戦略を立て行動に取り掛かります。
潜在ニーズとの和 【JCの志を国内外に浸透させる】
世の中には、普段生活していると気付かないニーズが潜在しています。逆に写真ワンカットで、キャッチフレーズひとつで、何も関心のない所から感性をくすぐり、感情の逆転作用が起こり「行ってみたい。体感したい。」となる瞬間があります。その潜在するニーズをつかみ、簡潔で分かりやすく、人を魅了する商品発信をしている企業が業績を伸ばしています。人を惹き付ける発信の法則が必ず存在します。その商品に付加価値を付けて発信しながら自然と顧客を囲い込むその企業経営手法は、地域経営においても転換でき、地域資源と知識とアイディアをかけ合わすことにより新しい価値観が創造されます。そしてどこに対して発信するかも重要です。世の中にある無数の媒体を調査研究し、効果的に潜在ニーズを手繰り寄せ、我がまちに賑わいと彩りをもたらしましょう。またJCのやることには限りがある。その志を丁寧に伝え、賛同者や企業・団体を増やしていくことが我がまちに対して、国内外の人々に対してインパクトと吸引力を培うために必要な要素です。我々がしたためた志を国内外に浸透させ賛同者を増やし継続的な運動ができる土壌を確立していきます。
人はなぜ学ぶのか?学ぶという事はもちろん知識や教養を育むことですが、本質的には人生を豊かにすること、人生をどう生きるかを探すことであり、転じてどう生きるかを知る行為であると考えます。常に学ぶ姿勢が大切で常に様々な状況を想定して準備をしておくことが大事であり、学ぶという素直な姿勢が人生において「よく生きる」ために必要不可欠な要素のひとつです。人は1日に6万回も物事の判断を下すと言われております。判断の質を高めるためには人生の栄養素を豊富に摂取する必要があります。人生の栄養素とは、「人は誰に出逢うか、誰に教わるか、誰に相談するか」によって人生が変わります。言い換えれば、「良い学び」と「良い言葉」と「良い思い込み」を与えられたかにより人生の質が変わります。
幸せで豊かな人生を歩むためには、学ぶ側の意思に関わらずやらされる「受動的学び」だけではなく、学ぶ側の意志で「やる・やらない」を選び取って行える「能動的学び」を積極的に実践していけば各々の人生の引き出しが増え、皆の行動が変わり、本当の意味で青年会議所の質が変わっていきます。そのための潜在ニーズを把握し、研修を強化し、青年会議所の志や社会を知るための教科書を一度再点検し、さらに会員益を増強します。
地域と青年会議所の和 【青年会議所のチカラを拡大する】
「JCに入って本当に良かった」と私は心から思います。国境を越えた人との出会いと多様化する現代の課題に対し、我がまちのためにみんなで切磋琢磨する崇高なる時間は、人生そのものを変えてくれました。それは、もともと他人で別々な人生を歩み、様々なことを考え、地域で生かされ、仕事をしていた青年が偶然にも奇跡的に集まった同志の集合体だからです。まさに青年会議所は「社会人の学び舎」そのものではないかと考えます。先輩から受け継いだ襷をしっかりと次代に託すためには、個人の使命感と研鑽から絆を深め、高い組織力を構築しながらその数を増やし、その力を運動に集中し、組織に転換させ、その運動で培った「挑戦する心と経験」を地域で活躍する青年として転換するスパイラルを構築していかなければなりません。地域の役に立つ人財は、このまちの宝です。人が歴史や文化・伝統を、更にはまちや国を創り上げます。資質の向上心・研鑽をまとった人財が集う集団のその先には可能性と期待値しか思い浮かびません。地域資源の究極は「ヒト」であります。この青年の運動が止まった時地域は衰え、逆にその運動が加速していくとビジョン達成に近づきます。
私たちが青年会議所のメンバーである意味とは、そして仲間である証とは何でしょうか。仲間である証は私たちが同じ志を持つということです。例えば、地域の未来を心配し、腐敗した体制に怒りを覚え、子ども達の未来を心配する。そんな気持ちが私たちの心の中に少しでもあるのなら、それは私たちが仲間である証であり、青年会議所のメンバーである意味でもあるのです。今一度私たちが同じ仲間として存在する意味を認識しましょう。青年会議所が設立した時より続く唯一無二の拡大運動はなおも継続します。全ては我がまちのために青年らしく元気良く同志を増やして参りましょう。
未来との組織の和(約束) 【未来に必要な組織創り】
地域の未来を切り拓くのは我々青年の使命であり、そこには、未来の可能性を考え抜き、創造できる具体的な運動としての形を創り出さなければなりません。そのためにも我々は様々な「和」を意識しながら、組織として1年毎にその歩みを再確認していくことが必須です。地域に信頼される組織として公益社団法人格を高度に継承・連続していくための「格」を再点検し、更なる組織進化をもたらします。組織としての「格」を上げるには、この地域の魅力あふれるチカラを「社会の学び舎」で学んだJAYCEEが各地域に散って発信し、この地域にある全てのモノ・コトが進化していかなければなりません。またその各種運動を強力に発信できる強固な組織作りを学ぶ場であり、他の組織にめざされるような組織にします。言い換えれば、会員が地域活動に還ったとき、地域に貢献できる地域JAYCEEがまち全体に広がり、地域全体の未来に対しての和が完成します。会員ひとり一人が元気に上を見て、人生の仕事に力を入れ、その和が広がっていった時、この地域の未来と青年会議所への信頼が約束されることでしょう。
むすびに
人の痛みや苦しみを自分の痛みのように理解し、簡単に人の悪口を言う人間になってほしくない。今、君に、自分に、いや私たちに一番欠けているのは想像力なのだ。もっと他人の事に寄り添い、他人の声に耳を傾けるべきなのだ。そのためには多くの人の生き方を知り、素晴らしさに感動し、多くの人を愛することが必要なのだ。そんなことをしたって自分の人生も、この世界も良くならないとあきらめている人が多くいるかもしれない。でも私はそうは思わない。私たちひとり一人がほんの少し勇気と希望を持ち、あきらめないで愛し行動し続ければ少しずつ世界を変えていくことができると信じている。私は多くの方々からそう教えてもらいました。
「あなたにしかできない事は必ずあります。」「あなたが変われば周りの世界もきっと変わります。」自分が常日頃忙しい毎日を過ごす中に気づかないでその恩恵に甘えていることに気づいた時に私は、物事に対して感謝の心と自分以外のモノのために戦うことの勇気という力をくれました。
想像の先へ。新しい明日へ。
まだ見たことがないから、
何だって想い描ける。
まだここにないから、
何だって創ることができる。
前を向いて、軽やかに。
とどまることなく、進んでいこう。
思い描こう、創り出そう。
新しい驚きを、新しい歓びを。
その先に、創造以上の未来がある。
日本古来の「和」のならわしやたしなみを知って本当の「和」を見つける航海に出よう。そして帰ってきたとき、戦艦大和のように志をたて、強く、たくましく、和やかに、後世に語りたくなるような1年を一緒に創ろう。「大きく和する」ことをお誓い申し上げ、公益社団法人小田原青年会議所2016年度第59代理事長としての所信と致します。
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