100年前(1908年)、日本から最初の移住者が笠戸丸でブラジル・サントス港に上陸して以来、数多くの日本人がブラジルに移り住み、現在では、約150万人という世界最大の日系人社会を形成しています。また、日本には、約30万人のブラジル国籍の方々が生活しており、神奈川県にも約1万4千人の方々が暮らしています。
ブラジルに移住された方々は、厳しい状況の中で、大変な苦労を重ねながらも、日本人としての誇りを持ち、勤勉と努力で一歩一歩、着実に地位を築き、ブラジル社会に貢献しています。
本年6月に行われた移住100周年記念式典において、ブラジルのルーラ大統領からも「日本移民は、いろいろな分野で活躍し、日本とブラジルの友好関係に大きく寄与している」と賞賛を受けました。
日本から地球のちょうど反対側に位置するブラジルで、日系人の方々が、このように日本人としての誇りとアイデンティティを持って活躍されていることは、日本人として大変誇りです。
現在、ブラジルは、新興の工業国として目覚しく発展し、資源や食糧の豊かな大国としても世界から注目を集めています。同時に、ブラジルは、大変、親日的な国であり、両国の友好交流、協力関係を深めていくことは、今後とも大変重要です。
さて、本年6月、松沢神奈川県知事がブラジルを訪問したことを契機に、ブラジル・サンパウロの神奈川文化援護協会(神奈川県人会)から、近代日本の文化の象徴でもある「二宮金次郎の像」を日本から寄贈してほしいとの要望が寄せられました。
二宮尊徳は、本県の小田原に生まれた、私たちにゆかりの深い偉人であり、刻苦勉励の少年期の逸話のみでなく、庶民のために改革を指導した民主的な人物として、今なお様々な場面で注目されています。厳しい生い立ちの中で、努力を積み重ね、持てる力の全てを人のために活かして、小田原藩の財政再建をはじめ、多くの苦しむ農民を救った人であり、倫理と道徳を胸に働きつづけたその生涯は、日本を離れ、数々の困難と闘いながらブラジルで人生を切り開かれた日系人の皆さんの人生と重なり、多くの日系ブラジル人から尊敬され、心の支えになっていると聞いております。
そこで、日本人ブラジル移住100周年を記念し、現代に生きる二宮尊徳を青少年はじめ広く県民の皆様に理解していただくことをも願って、県民の皆様や関係団体の皆様の幅広い賛同や協賛を仰ぎながら、ブラジルで活躍されている日系人の方々に、二宮金次郎像等を寄贈するとともに、現地で二宮尊徳の思想や業績を紹介するセミナーを開催し、日本とブラジルとの相互理解、文化交流を推進してまいります。