小田原・箱根・真鶴・湯河原に在住・在勤の20〜40才までの方ならどなたでも入会できます。 |
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理事長所信 |
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はじめに
日本の歴史上、時代を大きく変えたとされる出来事があります。三大改革と言われる大化の改新、鎌倉幕府成立、そして明治維新であります。乙巳の変で蘇我氏本宗家を滅ぼし、律令国家建設への礎を築いた中大兄皇子、時に19歳。武家政権の樹立を目指し、平家打倒のため挙兵した源頼朝、時に33歳。そして近代日本の幕開けとなる明治維新を成し遂げた幕末の志士は皆20代でありました。つまり、時代背景や環境は違えど、新しい時代を創るその中心には常に若者が存在していたということであります。では何故、私利私欲を捨て若者は立ち上がったのだろうか。それはきっと、愛する家族を守るため、愛する地域を守るため、ひいては日本の未来を憂い、明るい豊かな社会を次世代へ残そうとの思いに他ならないのです。人はあらゆる価値観を持ち、人生を過ごしております。古より今も変わらぬ普遍的な価値観は「愛」であります。「愛」という見えない心の作用こそが、価値観の根源であり、人として物事を考え、行動を起こす原動力であると私は信じております。
戦後、日本の経済は右肩上がりで成長して来ましたが、1990年代初頭に起きたバブル崩壊により、急激なデフレへ陥ると共に、リーマンショック、アジア各地の新興国の著しい経済成長もあり、国際競争力は低下し、現在に至るまで経済の長期停滞を余儀なくされています。また、現在の我が国は人口減少、超高齢社会へ突入し、特に地方から都市部への人口流入が進み、2040年には地方自治体の維持、存続すらあやぶまれる状況にあり、将来において人口減少と超高齢社会による経済力の低下や財政上の更なる逼迫が懸念されており、ひいては国力の低下を招きかねない状況にあります。そのような現状を踏まえ、私たち青年が何をすべきかと考えると、いつの時代も変わりない普遍的価値観「愛」を育み、次世代へ明るい豊かな社会を残すべく、山積している様々な問題解決に向けた運動の歩みを進めていくことであります。小田原青年会議所が掲げる地域ビジョン「世界を感動させる観光文化都市をめざして」に向かって、青年らしく英知と勇気と情熱を持って、未来を見据えた運動を共に展開をして参りましょう。
創立60周年
2018年、公益社団法人小田原青年会議所は創立60周年を迎えます。1958年5月16日、大きな志により全国で139番目の青年会議所として設立されました。以来、60年という長きに渡り、偉大なる先輩諸氏の高い志と弛まぬ努力と実績によって現在の小田原青年会議所は存在をしております。私たちが今こうして何不自由なく青年の運動を展開できるのは先輩諸氏が時代や環境に即した地域から必要とされる運動を展開してくださり、組織の信用を得ると共に、行政や関係諸団体をはじめ、市民の皆様に期待される組織へと成長を遂げ、現在に至っているのであります。創立60周年という節目の年を迎えるにあたり、今日まで小田原青年会議所の歴史と伝統の「襷」を受け継いでこられた先輩諸氏に感謝と敬意を表すると共に、私たちはその「襷」を受け取る者として、次世代へ確りと繋げていくことこそ最も大切なことではないでしょうか。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」 オットー・フォン・ビスマルク
経験は人の行動価値判断の一翼を担い、「かわいい子には旅をさせよ」との格言の通り、経験は人生を送って行く上でとても重要であります。しかしながら一人の経験だけでは全てを得ることはできません。過去の人々の行動がもたらした数多くの経験と普遍的な事象・結果を歴史とするならば、より多くの気づきや学びがそこにはあるのではないでしょうか。歴史は未来へ繋がる鍵です。小田原青年会議所の60年という長きに渡る輝かしい歴史を紐解くことで、必ずそこには地域の未来を描くヒントが数多く存在し、私たちの活動に繋がる先輩諸氏が描いた素晴らしい地域の未来がそこには存在していると私は確信をしております。創立60周年を契機に、小田原青年会議所の歴史を振返ることで、未来へ向けての運動の方向性を確かなものとし、青年会議所における国際会議誘致に向けて運動を進めていくことを発信します。また、会員一人ひとりが創立60周年という節目を理解し、小田原青年会議所の次なる運動の礎を築くことで、70周年、更には100周年へと繋げて参ります。
世界を感動させる地域へ
私たちが活動する地域は年間3,000万人もの観光客が訪れております。近年の推移状況は増加傾向であり、特に国のインバウンド政策と相俟って、外国人観光客の増加が顕著であります。小田原青年会議所では交流人口の増加に向けた様々な事業運動を展開し、交流人口の増加へ貢献して参りました。2020年には、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界中から多くの人が日本に訪れます。このように世界を感じる多くの機会があるにも関わらず、会員や地域の人たちに国際意識が根付いているでしょうか。本年はこのような地域の現状を踏まえ、今まで以上に国際的な視点から地域の未来について調査・研究を行うと共に、これまで培ってきた地域主体の概念と国際意識を掛け合せることで、日本の中の一つの地域ではなく世界の中の小田原・箱根・真鶴・湯河原を広く発信して参ります。
国の政策では人口減少の克服と東京の一極集中の是正を目的とした「地方創生」が議論されています。今、行政や関係諸団体は地域版総合戦略や中長期的な戦略ビジョンを策定し、まち・ひと・しごとの創生による経済の好循環を確立する政策を行っています。私たちの運動もその政策に歩みよることで、より運動の波及効果が得られるのは間違いありません。その上で、行政や関係諸団体との連携をより深めると共に私たちが展開する運動にも共感を持って頂く必要があります。私たちが目指すものとはこの地域に世界中の人が集い、賑わうことで地域活性化を図り、世界を感動させる地域へと繋げることではないでしょうか。本年は交流人口増加の運動を加速させると共に地域に存在する観光資源に磨きを掛け、様々な角度から人を魅了する地域ブランドの確立と私たちの運動に対する共感ネットワークを構築して参ります。
地域教育こそ未来を創る
日本の教育システムは全ての国民が平等に義務教育を受けられ、識字率99%以上を誇り、世界学力調査PISAランキングでは上位を占め、教育水準は高いものと言えます。しかし、最近ではモラルや道徳規範の低下、犯罪の低年齢化が問題となっております。そこには、家庭の核家族化が進み、携帯電話やインターネットの普及で非現実の世界に触れる機会が多くなったことが原因だと考えます。科学の発達により、人は豊かさや利便性を追求して行くことは当然であります。しかしながら生活を便利、効率的にした反面、地域で育ち、地域に育てられてきた子どもたちの教育環境を大きく変えてしまったといえるでしょう。結果として、地域にあった絆や人との繋がりが失われ、本来持ち合わせている日本人としての精神性や道徳心の希薄化が懸念されております。今、この問題に対し、責任世代である私たち青年が手を打たなければ、ますますこの問題は大きくなってしまうでしょう。
そうであれば、責任世代である私たちの役割とは地域教育の推進であります。その中で私は子どもたちが地域を愛し、誇りを持つのと同時に豊かな道徳心を持つことが大切だと考えます。そのような心を持つ子どもたちがやがて大人へと成長し、また次の世代へと継承していくことができれば、必ず地域の未来は明るくなるものと確信をしております。だからこそ私たち青年が地域教育の先頭に立ち、教育機関との連携を図りながら、学校や家庭では教えることができない小田原青年会議所ならではの地域教育を推進していく必要があるのではないでしょうか。
未来を担う人財育成
青年会議所全体では平均在籍年数が4年と言われ、小田原青年会議所においても状況は近似しています。また、会員数については100名前後を推移しているのが近年の現状であります。そのような現状を打破すべく、会員拡大に対する再検証を行い、課題解決に向けた取組みを行う必要があります。40歳で卒業を迎える青年会議所では会員拡大をして行かなければ組織力が弱まり、組織の存続すら危ぶまれるとよく言われます。正に然りだと考えますが、組織論や後ろ向きな考えではなく会員拡大の本質を見極めることが重要ではないでしょうか。会員拡大の本質とは私たち青年の運動の担い手が増えることであると共に、青年会議所活動を通じて修練を積み重ねることで個々の成長へと繋がり、地域に必要とされる人財を輩出することです。そのような人財を数多く地域に輩出することができれば、私たちが掲げる理想に近づくと考えます。地域の未来を見据えた会員拡大を全会員一丸となり当事者意識をもって全力で邁進して参ります。
また、入会年数3年未満の会員が半数を占めている現状にも目を背けることはできません。先に述べたように平均在籍年数4年と言う現状と相俟って、人財育成は大変重要な課題です。如何に小田原青年会議所の魅力を伝えると同時に会員が会員拡大の本質を理解することが大切です。そのためには新入会員や入会年数が浅い会員との交流を積極的に行うことで、より懇親を深め友情を育みながら、小田原青年会議所の魅力を伝えることこそ、研修事業と両輪をなす人財育成に繋がると考えます。会員一人ひとりが感じる小田原青年会議所の魅力や素晴らしさを伝え、未来の小田原青年会議所を担う人財育成を行って参りましょう。
愛し、愛される組織へ
小田原青年会議所は60年という長きに渡り、組織を維持し現在に至ります。また、公益社団法人格を有して本年で5年目になります。そこには先輩諸氏の弛まぬ努力と小田原青年会議所の組織としてのあり方が受け継がれ、それを守ってきた結果であります。地域から信頼される組織とは私たちが展開する運動はもちろんですが、公益社団法人としての組織のあり方、会計の透明性、そして会員の資質であると考えます。これまで培ってきた組織の信用を失うことなく、今後も組織運営をして行かなければなりません。組織運営が儘ならなければ、私たちが展開する運動そのものが立ち行かなくなるのは火を見るよりあきらかであります。入会年数が浅い会員が増えている現状を踏まえ、青年会議所活動を行っていくにあたり、悩みや不安に心を寄せ、全会員で助け合う雰囲気づくりに努めて参ります。そしてその先には会員が組織を愛し、強い結束力が生まれることで、運動の推進力が更に高まり、地域からも愛される組織運営を行って参ります。また、これまで受け継がれてこられた組織としてのあり方を守り実践していくために、今まで以上にガバナンスの強化を図り、JCプロトコルを実践することで、会員の成長へ繋げ、私たちの運動を力強く支える組織を構築して参ります。
結びに
私たちはとても豊かで幸せな時代に生まれました。それは先達たちが、私たちの世代に明るい豊かな社会を残したいとの思いで、先の大戦では戦地へ赴き、そして時には戦い、戦後に至っては衣食住に困る中、一生懸命働き、高度経済成長を成し遂げ、私たちの世代に素晴らし世の中を残してくださいました。私たちはその先達の「愛」を忘れず、私たちの次の世代へ引継ぐ責務があります。未来は何もしなければ壊れてしまいます。誰かが守らなければなりません。幸せな時代に育った私たちの世代だからこそ、次の世代にこの幸せを届けたい。私たち青年の「愛」を未来へ届けようではありませんか。同じ時代に生まれ、同じ地域で育ち、同じ志を持った仲間が集う団体が小田原青年会議所です。そこに集う若者が知恵を絞り、力を結集すれば必ずや明るい豊かな社会は実現するものと私は確信をしております。
愛は、全ての始まり。
愛があるから、心を一つにできる。
愛があるから、行動できる。
愛があるから、やり遂げられる。
愛があるから、大切なものを守れる。
愛があるから、夢を実現できる。
私は小田原青年会議所の精神として受け継がれた襷を受け取るものとして、歴史と伝統を重んじ、不撓不屈の精神を持って理事長職を全うすることをお誓い申し上げ、2018年度の理事長としての所信とさせて頂きます。
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